脳の神経回路は空間的に複雑に入り組んでおり、三次元的な解析技術が不可欠です。しかし、このような解析を可能にする顕微鏡の多くは高額な部品を複数組み合わせるため、多くの研究室で導入が困難で、用途が限定されているのが現実です。この問題に取り組むため、比較的安価で入手しやすい紫外線光源と脳を薄くスライスするミクロトームという機器を組み合わせた新しい顕微鏡を開発しました。
紫外線のうち280 nmという短波長のものは対象物の表面でエネルギーが減衰し、表層の限られた部分をスキャンする事に適しています。この特性を利用して、ホルマリン固定した脳標本を薄切しながら表面をスキャンすることを繰り返し、脳の三次元再構築することができました。
この技術の背景には、先行研究で提案されたマイクロコントローラを基盤としてオープンソース技術が活用されており、透明性が高くかつコストパフォーマンスの高い技術開発が可能になっています。
具体的には、マイクロコントローラにより制御された検出器を三次元的に操作し、薄切される脳標本の表面をスキャンすることで、画像データの取得を自動化しました。取得したデータはオフライン解析により再構築され、コンピュータ上で三次元データを再現します。
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